モナコは小さい国ですが、歴史と伝統は豊かです!モナコの四季を彩り、人々の心をひとつにする、モナコの歴史的伝統をご紹介します。
年の始まりは毎年1月27日に開催される聖デヴォート祭。聖デヴォートは西暦304年頃にコルシカ島で殉死した若い聖女です。その亡骸はコルシカ島で漁師が小船に乗せ、その小舟がモナコの海岸に辿り着いたのが1月27日でした。モナコと大公たちと関わりのあるこの儀式はモナコでは毎年行われ、教会でもミサが開催されます。聖デヴォートはモナコの守護聖女であり、聖デヴォート祭はモナコの人々が厳かながらも熱心に行う伝統行事です。聖デヴォート祭ではモナコ大公とその家族が聖デヴォートの亡骸の到着を象徴する小船に火をつけます。
気温も上昇し、陽の光で鮮やかな色がよみがえる夏には「シアラツ(Sciaratu)」が開催されます。「シアラツ」とは何のことでしょうか?
それはモナコの伝統的なカーニバルの名前です。「シアラツ」とはモナコの方言では「大騒ぎ」「バカ騒ぎ」という意味で、時代の流れにつれて変化してきました。その昔、このカーニバルでは仮装した人々がモナコの通りを歩き回っていました。子供達は藁や布切れで作られた、ウ・パヤスと呼ばれる人形を飛び越え、その人形を大公宮殿のテラスから吊るして燃やしていたものです。カーニバルの形は進化して人気も上昇したことで、主催者達はさらに多くの住民や観光客が楽しめるようにと夏に山車を繰り出すことになりました。「シアラツ」は今でも皆に大人気のカーニバルです。
夏の締めくくりは「カバニェチュ( Cavagnëtu )」と呼ばれるピクニック。9月になるとモナコの住民達はアントワネット公女公園のオリーブの木の下に集まって毎年恒例のピクニック大会に参加します。ピサラディエールやソカス、フガス、トゥルトなど、モナコの名物料理を中心とした料理を持ってきて家族で和気藹々としたピクニックを楽しむのです。新学年度を笑顔で迎えるために、モナコ住民が大公一家の囲んで集まる日でもあります。
冬が近づいて寒くなり始めると、国民が皆で11月19日のモナコ大公即位記念日をナショナルデー(Fête Nationale)として祝います。1857年にモナコ大公シャルル3世がモナコ大公戴冠の日を国の祝日と定めたことが始まりでした。2005年に即位したアルベール2世は、父親のレーニエ3世に敬意を表し、父親が戴冠した記念日である11月19日をそのまま国の祝日として継続することを決めました。この日には表彰式やスペクタクル、お年寄りや恵まれない人達へのプレゼント授与、花火大会など、様々な行事が行われます。モナコ住民がモナコ大公と大公一家への親愛の情を示す機会でもあります。
crédit : Charly Gallo / MairieMonaco / Eric Mathon - Palais Princier / AS Monaco