冬が終わると、モンテカルロでは毎年恒例のモンテカルロ春の芸術祭が開催されます。「Dérives(変動)」というテーマの2025年度の芸術祭は、作曲家ピエール・ブーレーズの生誕100周年を記念したものです。
生誕記念とオマージュ
2025年のモンテカルロ春の芸術祭は作曲家で指揮者でもあったピエール・ブーレーズの生誕100 周年を記念して開催されます。現代音楽を象徴する存在であるブーレーズは、その革新的なエスプリと卓越した芸術性により世界的な影響を及ぼして時代に足跡を残しました。この芸術祭では、彼の作品やインスピレーションの源、芸術界に残した業績を称えるコンサートや上映会、パフォーマンスを通して 、この類まれな芸術家の様々な側面にスポットを当てます。
フランシス・ベーコンとピエール・ブーレーズ 〜モンテカルロ春の芸術祭の核となったアーティスト達の出会い〜
2025年度のモンテカルロ春の芸術祭音楽祭では、フランシス・ベーコンと ピエール・ブーレーズの稀少な結びつきを表す、6つの代表的作品が選ばれました。これらの作品はベーコンとブーレーズがパリで肩を並べて活躍した時代に創作されたこれらの作品は、人間のか弱さや時の流れ、音楽と絵画の相互的影響といったテーマを浮き彫りにしています。この芸術祭は、20世紀の2人の天才の芸術的対話を発見するまたとない機会となることでしょう。
春の芸術祭と現代音楽
モンテカルロ春の芸術祭は、創作活動の振興に力を注いでおり、今年はピエール・ブーレーズと特別な関係にある偉大なる現代作曲家を数多く紹介します。モンテカルロ・オペラ座が依頼した、ブルーノ・マントヴァーニの作品のワールドプレミアを皮切りに、ヤン・マレシュ、フィリップ・マヌーリ、ラファエル・センド、マルク=アンドレ・ダルバヴィ、フィリップ・ユレル、故ペーテル・エトヴェシュの作品が演奏されます。これらの作品は、交響楽団や電子ピアノのリサイタル、合唱団など、さまざまな形式で演奏されます。ノイエ・ヴォカルゾリステン、アンサンブル・リネア、アンサンブル・クールサーキュイ、アンサンブル・オルケストラル・コンタンポランといった国際的に有名なアンサンブルのグループもこの豊かなプログラムを盛り上げます。
歴史
モンテカルロ春の芸術祭 はグレース公妃の提唱により1970年に創設され、1984年からはハノーファー公妃(カロリーヌ公女)が主宰しています。モンテカルロ春の芸術祭では、前任の作曲家マルク・モネの跡を継いで作曲家・指揮者のブリュノー・マントヴァーニが2021年5月、芸術監督に就任しました。マントヴァーニは、同じ日に上演される複数の作品が対話するようなプログラムを企画し、音楽の歴史に問いかけします。中世時代から現代の音楽まで、伝統的な音楽からジャズまで、モンテカルロ春の芸術祭では、音楽の様々な分野や美学、流派を照らし合わせ、一見かけ離れているような音楽家たち同士の間のつながりを見出すことができます。
2024年のディナー・コンサート
2024年にはモンテカルロ春の芸術祭第40回を記念して、オテル・エルミタージュを象徴する ベル・エポック・ホールにて ディナー・コンサート が催されました。
ミシュランの星を獲得したシェフ、ヤニック・アレノは、ダヴィッド・ハルトゥニアンの ヴァイオリンに合わせた五感を刺激する、素晴らしいメニューを考案しました。
プログラムについてはモンテカルロ春の芸術祭の公式ウェブサイトをご覧下さい。
写真クレジット:
© Festival Printemps des Arts de Monte-Carlo / © The Estate of Francis Bacon / © BBC and Sim Canetty-Clarke / © Mirco Magliocca / © MONTE-CARLO Société des Bains de Mer / © Mirco Magliocca / © Alice Blangero